日本RF手術研究会ジャーナル Vol.14 No.1

小児外科領域におけるRFナイフの使用経験
佐々木 隆士(近畿大学医学部外科学教室小児外科部門、兵庫医科大学外科学小児外科)

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小児外科領域におけるRFナイフの使用経験

佐々木 隆士(近畿大学医学部外科学教室小児外科部門、兵庫医科大学外科学小児外科)
通常の電気メスよりはるかに高い4MHzの超高周波(ラジオ波)を利用するRFナイフは、すでに皮膚科・形成外科、産婦人科、耳鼻咽喉・歯科口腔外科などではその有用性が知られ汎用されているが、これまで小児外科領域ではほとんどその存在すら知られていなかった。
我々は一昨年、幸運にもRFナイフとその特徴を知り、試用する機会を得てこれを小児外科領域に導入した。
小児外科の対象疾患は多岐にわたる。小児の呼吸器、消化器外科疾患だけでなく、先天異常と関連して体表の形成的手術も多く手掛けている。(図1)
サージトロン針状電極(A2D)
図1
RFナイフの①電流が直進、集中することで、シャープで滑らかな切開、微細な操作が可能、②表皮効果により切開・凝固を行った周辺組織へのダメージ(熱損傷)が少ない、③電流密度が高く、より少ない出力で狭い範囲に熱を集中させることができるため組織炭化を抑制しsurgical site infectionのリスクを下げる、④金属メスに比し創傷治癒が早く瘢痕・傷収縮が少ない、という優位性を踏まえ、我々はまず、特に狭い術野内で繊細な止血操作が要求される臍ヘルニア修復術に対して導入した。(図2)
サージトロン針状電極(A2D)
図2
はじめは出力設定や通常の電気メスと若干異なる使用感に多少の混乱もあったが、慣れるに従い皮膚切開、出血コントロール、術後創傷治癒に従来のデバイスとまったく遜色ない、あるいはそれ以上の使用感が得られ、徐々に他手術へと適用を拡げていった。(図3・4)
サージトロン針状電極(A2D)
図3
サージトロン針状電極(A2D)
図4
現在は鎖肛手術や泌尿・生殖器手術にも積極的に使用している。
またRFナイフの対極板(図5)には、⑤アンテナ的な役割のため電気メスのように皮膚に密着させる必要なく衣服やシーツの間に挟むだけで使用可能、⑥電流回収不良による対極板の発熱の危険がなく体格や皮膚の部位・状態を考慮することなく使用可能、という特徴があり、これらは体格や皮膚の状態での制限が大きい小児、特に新生児や乳児の手術において極めて有用で、安全面のメリットも大きいため、NICUでの未熟児の緊急手術などにも積極的に使用している。
サージトロン針状電極(A2D)
図5
1年余り色々な手術に使用してみて、RFナイフは小児外科の比較的浅い術野での手術において、非常に有用なデバイスであると思われた。一方で、現在のところ筋肉の切開、肝・腎などの実質臓器の切除、腹腔内深部の手術などは止血効果の点で適応外としているが、これもまだ我々がRFナイフをうまく使いこなせていないだけかもしれない。今後の展開として、RFナイフでは既に⑦多様な用途に対応できる種々の形状の電極が発売されており(図6、7)、ちょっとした工夫や改良によってさらに内視鏡外科手術などいろいろな手術への適応拡大の可能性も期待できるのではないかと思われた。(図8)
サージトロン針状電極(A2D)
図6
サージトロン針状電極(A2D)
図7
サージトロン針状電極(A2D)
図8

コンテンツ -contents-

サージトロン針状電極(A2D・A8D)を用いた若年女性の外陰部手術
辻 芳之(神戸アドベンチスト病院 産婦人科)
小児外科領域におけるRFナイフの使用経験
佐々木 隆士(近畿大学医学部外科学教室小児外科部門、兵庫医科大学外科学小児外科)
30年のRF経験における眼瞼手術と臨床
Prof. Dr. Reynaldo Javate(University of Santo Tomas Hospital Eye Institude)
経結膜ミュラー筋短縮術からの変遷
矢部 比呂夫(水道橋クリニック 眼科)
保険診療における上眼瞼手術のエステティックマインド
村上 正洋(日本医科大学武蔵小杉病院 眼科・眼形成外科)
私たちの行う上眼瞼手術について
小西 和人(芦屋美容クリニック)
※元資料に基づき、敬称略にて表示しています。
 
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