【ellman-Japan ケースレポート】ショート×ショート(ハンドピース・エンパイアニードル) コンビネーションの有用性
【ellman-Japan ケースレポート】
ショート×ショート(ハンドピース・エンパイアニードル) コンビネーションの有用性
松末 武雄先生(関西電力病院 形成再建外科)
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はじめに
日々の手術の中で切開・凝固を行う電気メスは必須の器械であるが、当院では眼瞼部などの微細な操作が必要な手術の際にはRFナイフ(サージトロン)を好んで使用している。RFナイフはモノポーラ:4MHz、バイポーラ:1.7MHz と周波数が一般的な電気メス(500kHz~1MHz)より高く、その周波数特性により熱進達が浅く、エネルギーが集中して流れるため周辺組織への侵襲を抑えた手技が可能である。
しかしながら、従来のハンドピースでは手元スイッチを押しながらデザイン通りに切開操作を行うことが難しく、ハンドピースの、患部により近い部分を把持しながらフットスイッチで通電を行っていた。
この度、ellman社より新たにハンドピースならびに電極が発売され、操作性の向上を実感することができたので使用経験について報告する。
手術の実際
当院では眼瞼の手術の際にellman 社製RF ナイフとエンパイアニードル電極を用いて切開・凝固を行っている。(CUT:出力値 10~14 / BLEND:20~30 / COAG:13~25)外科用手術メスの代わりにRF ナイフを使用するメリットは焦げつかず、出血を抑えながらの切開ができるため組織の微細構造の視認性が良く、一つ一つの組織を確認しながら確実な手術ができることである。
非常に繊細な部位での手術では、手振れを抑えるためにハンドピースの患部により近い部分を把持する方がやりやすい。従来型ハンドピースは患部に近い部分を持つと手元スイッチを操作しにくいため、フットスイッチで出力を行っていた。しかしながら、術中に頻回にフットスイッチの位置を確認する必要があり、モードを切り替える際にも本体側でのセッティング変更が必要で、少々煩雑であった。
今回ellman 社より発売となった「3ボタンハンドピースS シリーズ(HP3B-S)」は長さが従来品より35mm短くコンパクトな設計で取り回しが良く、よりニードル先に近い箇所でスイッチ操作が可能になったため、出力モードも自分自身の意思で瞬時に切り替えることができ、操作性が非常に向上している(図1)

図1 従来型ハンドピースとエンパイアニードル(上)と新しいショートハンドピース・ショートエンパイアニードル(下)

図2 (左)新型ハンドピースは手元スイッチを用いても患部により近い部分を把持し手振れを最小限にした操作が可能。皮膚切開はCUTモードとし、ニードルを立てて、ニードル先端の接地面積を小さくすると鋭利に切開しやすい。(中央)従来型ハンドピースで患部に近い位置で把持する場合、手元スイッチは使えないのでフットスイッチを用いる。(右)従来型ハンドピースで手元スイッチを使う場合、かなり患部から離れた位置で把持することになってしまう。

図3 エンパイアニードル電極は先端部が鋭利で、微細な切開が行えると同時に、先端部を傾け接触面を増やし、止血を効果的に行うことができる。従来型(左)よりも新型(右)は先端形状の工夫により傾ける角度が少なくても効果的に止血が行えるようになっている。

図4 (左)皮膚切開後、BLEND モードで止血しながら切開をさらに進めることができる。電極先をゆっくり動かすと止血が得られやすい。(右)COAG モードでニードルを傾けるとより確実な止血ができる。

図5 皮膚眼輪筋切除を行った状態。出血しやすい眼瞼であるが、ほとんど出血させずに操作が可能であった。
まとめ
RF ナイフの従来型ハンドピースとエンパイアニードル電極を用いた手技に慣れていたが、日本人の手のサイズに合わせたコンパクトな新型ハンドピースとエンパイアニードルは使い勝手がよく、微細な操作を必要とする部位での使用には非常に有用であると感じた。各製品が有する特徴を理解しながら適材適所で器具を選択することが重要であり、この新型ハンドピースとエンパイアニードルはその重要な選択肢の一つとなる。
松末 武雄先生
2002年 2004年 2009年 2012年 2017年 |
札幌医科大学卒業 湘南鎌倉総合病院 初期研修医 湘南鎌倉総合病院 形成外科 関西電力病院 形成再建外科 京都大学形成外科入局 関西電力病院 形成再建外科 医長 関西電力病院 形成再建外科 部長 京都大学臨床准教授 |
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